アメリカ最初期のビデオゲーム市場はどれだけ混沌としていたか。VOL.2

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ファミコンのひと世代前、アメリカではATARI 2600、インテレビジョン、コレコビジョン等のゲーム機がビデオゲーム市場を形成していました。まだ生まれたばかりの怪物であるビデオゲームはさまざまな試行錯誤を繰り返して成長していきました。しかし中にはとんでもない発想や大人の事情で風変わりな怪物が生み出され、そして散っていきました。
ここではATARIを中心に今では考えられないようなゲーム事情を紹介していきます。

シンプルから超複雑まで、アクティビジョン

アクティビジョンというゲーム会社を知っていますか?
現在も面白いゲームを制作し続ける世界初のサードパーティーメーカーです。
アクティビジョンが生まれたのはATARI 2600の時代。アタリの関係者が立ち上げて勝手にソフトを制作販売したのが始まりです。
当時おおらかな時代で、ビデオゲームに関する著作権等も薄かったようです。
後にアタリから訴えられましたがアタリにロイヤリティを支払うことで合意に至ったようです。
しかし、単なるアタリの真似事ではなく独自の路線でオリジナリティあふれるゲームをリリースし続けていました。
今回はアタリとアクティビジョンのゲームの特徴をいくつか紹介していきます。

パッケージとカセットデザイン

アタリの標準的なパッケージとカセット、
色付きパッケージと黒を基調とした高級感あるラベル

アクティビジョンのオリジナルパッケージとカセット、
シンプルなイラストと色付きラベルが特徴

ファミコンの一部サードパーティーと同じように、アクティビジョンにも独自のカセットデザインがあります。写実的なイラストと黒のラベルが多いアタリとシンプルなイラストでカラフルさを重視したアクティビジョン、一目見ただけで別の会社が作ったゲームだと分かりますね。

単純なゲームバリエーション

アタリのゲームの多くは多彩なゲームバリエーションがあります。
ゲーム機本体にある「game select」スイッチを押すごとにゲーム番号が変わって細かい設定を変更ができます。アタリはこのゲームバリエーションがめちゃくちゃ多いんです
例えばこれ、

これは「アステロイド」というアーケードから移植されたシューティングゲームです。
左上に「66」という数字があると思います。ファミコンのナムコやタイトーのソフトを知っている人は66番目に発売されたゲームなのかな?と思いがちですが、実はゲームバリエーションの数なんです。66パターンのゲームがあるということ…多くね?
ちなみに発売順を知るには右下のCX2649という数字を見ればわかります。ゲーム機本体のナンバーがCX2600で、カセットの番号は2601、2602と順に増えていきます。なので「アステロイド」は49番目のゲームということですね。

これは説明書の最後のページにあるゲーム選択表です。
66パターンあるゲームバリエーションにそれぞれどんな設定があるか表します。
まず、66パターンのうち半分は1人用ゲームか2人用ゲームかの違いです。
後の32パターンは、宇宙船のサブ能力の設定、エクステンド(スコアを何点獲得すれば1UPするか)、2種類のゲームスピード設定の組み合わせの違いです。残りの1パターンはお子様向け用の特別簡単な設定になっています。
ゲーム画面には数字しか表示されないのでこのゲーム選択表の書かれている説明書をなくすと分からなくなるのが難点ですね。まずゲームを始める前にセレクトボタンを連打しなくちゃならないのがキツイ(ゲームバリエーションの多いゲームはselectを押しながらresetを押すとゲーム番号が早送りされます。)

比べてアクティビジョンのゲームは、

カセット下を見てください。
Game 1:One Player と Game 2:Two Player の2つしかありません。
このゲームだけでは?と思う方もいるかもしれませんが、他のゲームもだいたいこんな感じです。多くても4パターン程度です。
このシンプルなゲームバリエーションがのちにファミコン等で受け継がれていったのだと思います。

ビックリするほど複雑な玄人向けゲームも

この時代のゲームは数分でクリア(ループ)するゲームがほとんどです。本体性能やメモリの容量も一因ですが、回転率の高さが求められるアーケードゲームを参考、移植しているものが多いためだと思います。
しかしアクティビジョンは何時間プレイ可能な家庭用ゲーム用にじっくり遊べるゲームを開発していました。それが「スペースシャトル」というゲームです。

「スペースシャトル」のパッケージ、シンプルなイラストではなくかなり写実的

これはスペースシャトルを操縦して大気圏突入し宇宙ステーションとドッキングすることが目的のゲームです。操作がとても複雑でコントローラーはもちろんゲーム機にある全てのスイッチを使用します。

「スペースシャトル」のゲーム画面。3D視点というだけでもう凄い

付属の操作ガイド。上のシートは本体のスイッチ部にかぶせて使用する。
2枚あるのは製造時期によって本体のスイッチ配置が異なるから

細かく書くととても長くなるので省きますが、ゲームに付属しているガイドシートを見ればどれだけ複雑かはなんとなくわかると思います。本当にスペースシャトルを操縦しているような感覚でゲーム終了するまで緊張感がすごいのだと思いますね。

このようにアクティビジョンは本家アタリと違った試みをしており、いくつかは後のファミコンやそれ以降のテレビゲームの定義を形成したと言ってもいいかもしれません。

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