アメリカ最初期のビデオゲーム市場はどれだけ混沌としていたか。VOL.1

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ファミコンのひと世代前、アメリカではATARI 2600、インテレビジョン、コレコビジョン等のゲーム機がビデオゲーム市場を形成していました。まだ生まれたばかりの怪物であるビデオゲームはさまざまな試行錯誤を繰り返して成長していきました。しかし中にはとんでもない発想や大人の事情で風変わりな怪物が生み出され、そして散っていきました。
今回はATARIを中心に今では考えられないようなゲーム事情を紹介していきます。

・アタリとマテルとシアーズと

ご存じの方は多いと思いますが、ファミコン本体には任天堂製の他にシャープのファミコンテレビやツインファミコンという公式の互換機があります。
ATARI 2600(アタリ)とインテレビジョン(マテル)にも公式に発売された他社製のゲーム機本体があり、どちらも同じ「シアーズ」という全米に百貨店を展開している企業が販売していました。
シアーズは自社のブランドを認知させるため、ゲーム機に新しいデザインと名前を付けて百貨店シアーズで販売しました。

これがアタリ販売の「ATARI 2600」

これがシアーズ販売の「シアーズビデオアーケード」中身はATARI 2600と同じ

マテル販売の「インテレビジョン」(英語ではIntellivision)

シアーズ販売の「シアーズスーパービデオアーケード」中身はインテレビジョンと同じ

このようにゲーム機自体は全く同じですが、名前とデザインが変更されたシアーズ版が発売されていました。他社製のゲーム機同士似た名前にするのはどうかと思いますが、
しかしここまでは別におかしいことじゃないですよ? 問題はこの次
なんとシアーズは専用カセットまで名前とデザインに変更を加えたんです。
例えばこれ、

これはアタリが発売したATARI 2600専用ソフト「ミニチュアゴルフ」のパッケージです。

そしてこれはシアーズが発売した「アーケードゴルフ」のパッケージです。

ゲームタイトルもパッケージイラストも違い、別のゴルフゲームに見えますが、
どちらのゲームも内容は全く同じゲームです。
なぜ変更したん…
中にはタイトルとイラストが同じゲーム、どちらかが違うゲームも存在しますが、ほんの一部。
同じゲームなのに見た目が違うから絶対混乱します。間違って同じゲームを買ってしまうミスも当時おきたかもしれません。
他の例を挙げますと、

アタリから発売の「スロットレーサー」

シアーズから発売の「メイズ」

もう名前に類似性がなくイラストの雰囲気もまったく違いますがこれも中身は同じゲームです

ちなみにアタリから「メイズ クレイズ」という上記の2本とは別物のゲームも存在します。こちらのシアーズ版タイトルは「メイズ マニア」です。メイズどんだけあるの…

アタリのゲームの謎変更を見てきましたので次はインテレビジョンのシアーズ版、スーパービデオアーケードはどうなっているのか見てみましょう。

マテルから発売された「オートレーシング」

シアーズから発売された「オートレーシング」

スーパービデオアーケードでは、パッケージデザインは全く違いますがタイトルは全て統一されています。やはり前出のビデオアーケードでのタイトル変更は不評だったんでしょうね。
ビデオアーケードではタイトルが同じでイラストが違う。タイトルが違ってイラストが同じというパターンがありましたが、スーパービデオアーケードでは全てイラストを変更しているようです。中にはイラストの雰囲気が全く違うゲームもあるので油断は禁物ですね、一番安全なのはアタリまたはマテルのソフトを買ったらシアーズには手を出さないことですね。

いかがでしたでしょうか。
同じゲームなのにタイトルとパッケージイラストが違うこのトラップを当時のプレイヤーはどう感じたのでしょうか。ゲームソフトを選ぶところから既にゲームは始まっていたのですね。
当時はグラフィックが単純で明確なストーリーも無いものが多いため自由気ままにイラストが描かれたのだと思います。
「このゲーム…タイトルは違うが絵の雰囲気が持ってるのと似てる… コイツはシアーズだ、気を付けろ」みたいなことがあったんでしょうねー、子どもから見たら死活問題ですが知ってる私がショーケースの前で悩んでいるキッズを見てニヤニヤするのを想像すると楽しいですね☆

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